第65回 これがアベノミクス効果いうやつか!
2月☆日
大雪、思った以上におおごとでした。ちょうど可燃ごみの日やって、収集車遅れるやろな~とは思っててんけどあまりにも来えへんから世田谷区のホームページ見たらなんと「本日のごみ収集は中止します」。そんなことあるんや。近所をちょっと歩いてみても、屋根が落ちたガレージとかほんまにある。東京は枝が立派に伸びてる巨木が多いねんけど、あっちもこっちも太いところから思いっきり折れてる。1週間前の大雪と東京はそこまで積雪変わらんはずやのにこの被害の違いはなに? と思ってたら、テレビのニュースで前回と今回では雪の重さが全然違ったって言うてた。確かに確かに。1回目の時は、さらさらパウダースノーっぽかって(ほんまのパウダースノーとはちゃうと思うけど)、東京の雪じゃないみたいって思ってたんよね。それに比べると、今回の雪は水分が多くて倍近い重さがあったらしい。大雨の水が流れんと全部屋根とか木に乗っかってると考えたらそれは厳しい。雪の恐ろしさ、やっと実感しました。
2月☆日
オリンピック、やってますね。昔みたいに夜中まで必死に見るってことはなくなったのですが(あんまり放送してなくない? 特に地味な競技全然やってないような……)。オリンピックになると毎回思うけど、わたしは有力日本人選手が出てない競技のほうが見るの好き。落ち着いて見れるし、解説も冷静で競技そのもののおもしろさがわかる。日本人のメダルがかかってる競技とか、実況も解説もほぼ応援でどこがいいか悪いかわからんまま終わってしまうことあるやん。あと、5位とか8位とかでも世界でそんだけ上ってすごいのに「逃した」とか「惨敗」とか言うのもなんかなーって思うし。
で、今回のオリンピックはXスポーツ系競技が増えてて、元はスノボの競技をスキーでやってるのがなかなか無茶しまくりでおもしろかった。冬はまだ競技数少ないし、新しい流れが入ってくる余地があるんやろうな。おもろかったからオリンピック以外の大会もときどき放送してくれたらいいのになー。
2月☆日
思い出のオリンピックというと、わたしはなんといっても1992年のアルベールビルと1994年のリレハンメル。アルベールビルまでは夏と冬が同じ年やったのがずらそうということになって、2年後にあったんよね。高校生~大学生で時間あったし、確か家にBSが導入されたのもあって、めっちゃ見てた。当時のスターはアルペンのトンバ(イタリアの伊達男、モテモテでトンバ・ラ・ボンバ(爆弾)と呼ばれてた)とフィギュアのキャンデロロ。キャンデロロはいかにもフランスの男前で三銃士が十八番、日本でも「ロロ様」として大人気やった。2年後にまた見れたしお得感あった。こういう話の時に出てくる名前って、ほんま年がわかるよな~。最初に興味持ち始めたときのインパクトのある選手って刷り込まれるもんね。アルベールビルは、開会式の演出をフィリップ・ドゥクフレっていう現代舞踊の人がやってて、そりゃあもうかわいいしおもしろいしで、夢中になって見た。メダル渡す係の女の子の衣装とか胞子みたいやったし。後で知ったけど、当時ドゥクフレは30歳! 大抜擢やったらしい。東京オリンピックでもぜひ、なんてことは夢のまた夢やろな。予想はしてたけどそれをはるかに超えるじいさんばっかりの実行委員やもんな……。
2月☆日
大阪以外の人によく「大阪の人はなぜあんなに擬態語、擬音語が多いのか」と聞かれるのですが、自分も使ってしまうのでなぜ? と問われても分析が難しい。確かにテレビのニュースなんか見てても目撃証言が「ぼーんいうたからぱっと見たらばーっと火があがっとってだーっとそこらじゅう広がって」みたいなこと言うてて、使いすぎなおっちゃんも多いけど、そこまで使ってるかな&大阪以外の人はそんなに使えへんのかな、と思ったりするわけですが、こないだ新大阪で新幹線降りて在来線に乗り換えた途端、近くにおった男子が「すぐぴゅって行けるから」って言うてて、あー、確かにこの「ぴゅって」の部分、別にいらんな、関西じゃない人言わへんな、とつくづく思いました。でも「ぴゅって」あったほうが、めっちゃ近い感じするやん? 「ぴゅって行けるから来てほしい!」って気持ちが伝わるやん? まあ、内輪の言語なんやろうけども。
2月☆日
山手線に乗ったら、ドアが閉まるときにアナウンスが女の人のめっちゃテンションひくーい声で「駆け込み乗車やめてくださ~い、ドア閉めてるのが見えませんか~? やめてくださ~い」とおっしゃいまして、車内が動揺。近くにいた男子学生たちも「こえー」と顔を見合わせておりました。
普段電車に乗ってると、2、3分遅れただけでずっと「遅れましたことお詫びします」を繰り返しててそないに謝らんでも、って思うことのほうが多いので……こういうのもええんちゃうかとにやっとしてしまいました。
2月☆日
こないだ大阪は近代建築ようさんありますよ、って話を書いたばっかりのところ、御堂筋線梅田駅のドーム天井改修のニュースが流れてきて愕然。ドーム天井そのものがなくなるわけじゃないけど、めっちゃ素敵な形の蛍光灯シャンデリアがなくなって、完成予想図を見る限り往年の面影がなくなりそうなデザイン。えーっ。御堂筋線は、ちょうど朝ドラ『ごちそうさん』でも取り上げられてたけど、戦前に「大大阪」と呼ばれた時期の栄えてた大阪の象徴的な存在で、それまでにない広さの道路と一緒に開発されて、街の中心が堺筋から御堂筋に移ったんよね。当時は地下鉄4両ぐらいしかなかったけど将来を見越して12両でも使える長さのホームにしたって話を大学の地理の授業で聞いて感動した。あんなりっぱなドーム天井の地下鉄、ほんまに貴重な存在。柱もない広々した空間に、あの蛍光灯シャンデリアがまたええのよ。あれはたぶん、戦後につけられたんかなと思うけど、蛍光灯並べてるのがあるもんで工夫しましたっていう大阪らしい感じが出てて、しかも、現存してる梅田、淀屋橋、心斎橋、天王寺の各駅で形が違う。
作られて100年ぐらい経って傷んでるし使い勝手悪くなってるとこもあるやろうし、改修せなあかんのはわかるけど、せっかくの歴史と作った人たちの心意気を実感できる昔の面影はできるだけ残してほしいと思う。Twitterでこのことをつぶやいたら、今までにない反響があって、あの蛍光灯シャンデリア愛されてたんやなあ、としみじみ思った。まだ残ってる3つの駅は大事にしたいし、これから駅通る人は見て!!って言うていきたい。
3月☆日
あっちでもこっちでも梅が咲いてる。こんな寒くても咲く梅はええなあ、と年を追うごとに思う。梅はにおいがあるのも、歩いててふと気づく感じがあってうれしい。奈良時代ぐらいまでは「花」といえば桜じゃなくて梅やったそうやけど、まっさきに春の訪れを知らせてくれる存在やね。
3月☆日
去年から、近所があっちでもこっちでも工事してて、秋頃に「ああ! これがアベノミクス効果いうやつか!」とやっと気づいた。消費増税前の駆け込み需要もあるのか、ほんまに右も左も新築、リフォーム、壁の塗り替え。東京やしお金持ってはる人多い街やから効果出るん早や! と感心しつつも、気に入ってた古い家が取り壊されてたり、樹齢100年は超えてた巨木が斬られたりして、がっくりくることもしばしば。こういうのは、価値観が変わらんと景気よくても悪くてもあかんよな、とつらつら思って、近所のめっちゃええ感じの昭和初期っぽい和洋折衷の空き家の行く末を心配してた。先週通ったら、案の定工事が始まってて「こんないい家が……」とかなりショックやってんけど、3日後ぐらいに再び通ったら、まだ建物がある。あれ? こういうの、壊すときは一気に重機で壊すのに、窓だけ外したり屋根に梯子が掛けてあったり……。もしや、改修して住むの!? その後も気になってちょくちょく通ってるのですが、やっぱりちゃんと直して住んでくれるっぽい。映画に出てきそうなええ造りのお家で、庭も広々してるし、この良さをちゃんとわかって手もお金もかけてくれる人がおるんやっていうのは、御堂筋線の件も含めてがっくり続きやったところに差した希望の光。改修してどんなお家になってどんな人が住みはるんやろ。まだ通る度にびくびくしながら見守ってるけど、無事に改修が終わったらお礼を言いに行きたいぐらいや。
プロフィール
柴崎友香(しばさき・ともか)
1973年大阪生まれ。映画化された『きょうのできごと』で作家デビュー。2007年に『その街の今は』で第57回芸術選推奨科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、第24回咲くやこの花賞受賞。2010年に『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞受賞。2014年に『春の庭』で第151回芥川龍之介賞受賞。著書に『青空感傷ツアー』『フルタイムライフ』『また会う日まで』『星のしるし』『ドリーマーズ』『よそ見津々』『ビリジアン』『虹色と幸運』『わたしがいなかった街で』等多数。
公式サイト:http://shiba-to.com/
権田直博(ごんだ・なおひろ)
1981年大阪生まれ。画家。さまざまな手法を使って作品を作り、すべてを絵ととらえている。風呂からパブリックスペースまで幅広く活動中。
キレイ:https://naohirogonda.tumblr.com/
風呂ンティア:https://frontier-spiritus.blogspot.jp/
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