3年連続、朝食1位を獲得した理由

2015.8.14 12:28

中央にいるのが板垣シェフと朝食会場で活躍するスタッフ

(写真6枚)

世界最大の口コミサイト「トリップアドバイザー」にて3年連続「朝食のおいしいホテル」1位という快挙を成し遂げた「ホテルピエナ神戸」(兵庫県神戸市)。いわゆるラグジュアリー系でもなく、関西でも知る人ぞ知る小さなホテルだが、その口コミで人気を博した理由について、立役者でもある板垣尚史シェフに訊いてきました。

フランス料理が中心の朝食へ変身
「僕が働き始めた時は、朝食に力を入れているとは決して言えませんでした。しかし、約9年前に、料理長に就任した時に”何でもしていいよ”って言われたんです。そこで、それまで使っていた産地が分からないようなものや、業者が作った大量生産のものは一切止めて、僕はフランス料理を作りたくて料理人になったので、フレンチを中心にしようと決めました」と、板垣シェフ。

ただ、最初はやはり朝食にはソーセージや目玉焼きなどの定番メニューなどが必要なのではないかと悩んだというが、家では決して食べられない料理を目指したところ、自然と絞り込めたそう。今はブイヤベース、ポトフ、バベット(ハラミ)ステーキを看板メニューに、ニンジンのラペ、ラタトゥイユ、テリーヌ・・・と、普段、朝食に登場しない料理がブッフェテーブルにズラリと並ぶ。

デザートコーナーは、最適な温度で提供できるよう冷蔵機器も導入
デザートコーナーは、最適な温度で提供できるよう冷蔵機器も導入

また、最初は館内のケーキショップ「カシス パトリー」で販売していたものをデザートに並べていたが、スイーツホテルとして成長したいという思いから朝専用に仕上げるように。「そのおかげで、ショップ、夜、朝で異なるデザートを楽しんでもらえるようになりました。また季節ごとに内容も変わるので、”前のアレも食べたかったのに〜”って声はありますね」と、お客から朝食のデザートに対しての高い期待値も伺える。

一番大事なのは料理よりもサービス

紅茶一つとっても、定番の茶葉以外にオリジナルフレーバーを提供したり、すべてが吟味されていることが伝わってくる朝食会場。1位であり続けるワケに納得しかけたところ、「ただ、僕は大事なのは料理だとは思っていません。料理はおいしくて当たり前。喜んでもらうためにはサービスが一番です」と! 確かに決して広いとは言えない会場で、スタッフ同士でインカムを通じて指示などが飛び交い連携して動いている様子。

「例えば、料理が少なくなったりするとすぐに補充します。やはり少ししか残っていない料理は、テンションが下がりますよね。それは、仮に閉店30分前だったとしても同じ状態で楽しんでもらいたいからです。また、お客さんの情報はスタッフで共有することも徹底し、お誕生日など記念日で宿泊されたのであれば、夜だけでなく、朝も特製ケーキを準備したり。店内にいらっしゃるお客さんの様子を把握するため、抜き打ちで”今、店内のお客さんで左利きは何人いらっしゃる?”なんてテストもしますね」と、想像以上なおもてなしぶり。

「今、いらっしゃるお客さんは日本一の朝食を目指していらしてるので、ハードルはあがっていますね。”ちょっと塩辛いね”と言われたら味付けを考え直したりと、1位であり続けるためにはお客さまとの会話が必要だと思っています。今は朝食ブームが来ていると思うのですが、ブームは終わるもの。そうなった時に、また新たなことを提案していきたいと思っています。ほかにはない、ここだけのものに特化していきたいですね」。普段は宿泊しないといただけない朝食だが、期間限定で昼食にも登場。東京の次に、地元兵庫の人がわざわざ宿泊するというほど、吸引力のあるホテルの朝食をぜひ味わってみてほしい。

ホテルピエナ神戸

住所:神戸市中央区二宮町4-20-5 レストランパトリー 
時間:朝食7:00〜10:30(10:00LO)※月土日祝は6:30〜
料金:大人2,310円、小学生1,080円、幼児(3歳以上)648円 ※宿泊者のみ利用可
電話:078-272-1313

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