テナー吹き、藤井尚之の過去と今

2017.5.5 10:00
(写真5枚)

ステージの上では「そこはもう駆け引きですよね」

──アルバムを通して懐かしさを感じたのですが、アレンジの世界観ははじめからイメージしていたのですか?

アレンジはキーボードの(佐藤)雄大くんが手伝ってくれたんですけど。自分がバンド出身の人間なので、音楽のわかるアレンジをしてくれる人というのは、すごい憧れ。もう細かいことを言うより、その人のセンスを信頼してお任せする。自分にないものを要求してしまうのも当然ありますし。

──レコーディングのメンバーは、どのように声をかけたのですか?

今回雄大くんに自分がやりたいプレイヤーを呼んできてよ、って。今回はぐっと若い、平均年齢で言ったら30半ばくらい。だからもちろん、僕はダントツに年齢が上、おっちゃんなんですけど(笑)。

──彼らからの若い刺激って感じたりしますか?

みんな尖ってないんですよ。「カッチョイイからポーズでバンドやろうぜ」じゃなくて、音楽が好きで音楽を始めた連中なんですね。自分の生い立ちみたいな尖ったモノがない。ツッパリ感が全くないっていうことですね(笑)。だから安心感があるんですよ。なんでもそつなくこなす。それは自分にない音楽との接し方で、ダメなもんはダメ、見向きもしないジャンルとかってあったりするじゃないですか。でも彼らはそういうこともなく、なんでもこなせる。

──物足りなさみたいなのは感じないのですか?

そこが不思議とね。いろんな情報が手に入る世代なんでしょうね。ちょっと荒く演ってって言ったら荒くできるし。イメージを伝えれば再現してくれる。大したもんだ。

一貫するポリシーとして「1つのことをやり続けるカッコよさってあるじゃないですか」と話す藤井
一貫するポリシーとして「1つのことをやり続けるカッコよさってあるじゃないですか」と話す藤井

──ツアーメンバーはレコーディングとは違うんですよね

ドラマーの(平里)修一くんだけです。あとは全員違いますね。でもそれはそれで、また違うものが。必ずしもCDの再現ってことにこだわっていないですし。ライブはライブで、アレンジもちょっと手を加えてもいいと思ってます。もっとシンプルに聴かせる可能性もありますね。

──セッション風になったり?

もちろんそういう風になる、した方がいいっていうか。リハーサルをやってみないとわからないところなんですけれども。みなさん知ったメンツばっかりだったりするんですけれども、そこはもう駆け引きですよね。

──駆け引き、いい響きですね

うん。だから「はい、みんな休憩!」って1人で演る可能性も、あります。そのへんは実際そのライブの構成にもよりますよね。

時代の渦にもまれながらも、自分を信じ、周囲と協調し、あくまでも自然体でいる、そんな人柄を感じた今回のインタビュー。こだわりを持って奏でるテナーサックスの音色から、哀愁やエロティシズムもにじみでるライブツアーは、5月に東京、大阪、名古屋で開催される。大阪公演は5月28日に「ビルボードライブ大阪」(大阪市北区)でおこなわれ、チケットは7200円ほか、現在発売中。

NAOYUKI FUJII "Special Live Theater" Vol.3『foot of the Tower』

日程:2017年5月28日(日)・16:30〜/19:30〜
会場:ビルボードライブ大阪(大阪市北区梅田2-2-22)
料金:サービスエリア8200円、カジュアルエリア7200円
電話:06-6342-722(ビルボードライブ大阪)

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