なぜ紅茶の聖地に?ムジカの三代目が語る

2019.10.22 07:00
(写真10枚)

脈々と受け継がれる思い、聖地たる理由とは

6年ぶりに再開した喫茶部門は、トーストの種類が増えたぐらいで、堂島の喫茶時代とメニューにほとんど変化はない。今のご時世に合わせて・・・、たとえばMUSICA流のタピオカミルクティーなんてかなり上質で評判になりそうなものができそうですが? と聞くと、堀江さんは「うちの昔からのお客さまは、フレーバーティーでも嫌がる人が多いから、受け入れられないでしょうねえ」と笑う。

定番をはじめ世界各国の茶葉が楽しめる「saloon」のメニュー
定番をはじめ世界各国の茶葉が楽しめる「saloon」のメニュー

「やっぱり長くお店を継続させるには、オーソドックスなのが一番いいんですよ。流行に乗るのではなく、ずっと同じスタイルでやっている所は、お客さまにとってはいつ来ても安心できると思うので。もし『saloon』が定食やタピオカを出したりしたら『MUSICAって変わったね』ってなりますよね? ブームに合わせて簡単に変わったら聖地ではなくなる。いつ来ても『これこそMUSICAだ』と思ってもらえることが、重要なポイントなんです」とも。

その一方、堂島時代から20~30種類ある茶葉のラインアップに大きな変化はないなか、数少ない新商品が「芦屋プラウド」。安価で気軽に楽しめる看板商品「堂島ブレックファースト」に対し、ポットの1杯目と2杯目で香りと味わいが大きく変化する、少しセレブな紅茶だ。このお茶には「芦屋」を新しい聖地にすることへの、堀江さんの強い思いが込められている。

数少ない新商品「芦屋プラウド」
数少ない新商品「芦屋プラウド」

「昔より紅茶が飲まれるようになったとはいえ、日常的に飲む人は、まだ日本人全体の10分の1にも満たない。でもそれは、本当においしい紅茶にめぐりあってない人が多いから。実際この店をオープンしたときも、コーヒーばかり飲んでたという人が『紅茶ってこんなにおいしかったんや』って、立て続けに来てくれたんですよ。せっかく芦屋に来たわけだし、ここから少しずつ街に浸透して『MUSICAっていう紅茶のおいしいお店が、芦屋にあるらしい』となってくれたら。MUSICAによって、芦屋のブランドイメージがさらに上がった、ということになればいいなあと思います」とさらなる夢を語った。

「saloon」を切り盛りする堀江さんご一家。左から娘の真彩子さん、奥さまの加奈子さん、三代目代表の堀江勇真さん
「saloon」を切り盛りする堀江さんご一家。左から娘の真彩子さん、奥さまの加奈子さん、三代目代表の堀江勇真さん

この日の取材中、「MUSICA」名物のスパイスティーを煎れてくれたのは、堀江さんの娘・真彩子さん。茶葉の販売店で2年間働いてたというだけあり「渋みが苦手なら、キャンディ(の茶葉)がいいですよ」と、サラッとオススメが出てくるなど、すでに父親や祖父、曽祖父と同じように、立派な紅茶道へと足を踏み入れている。堂島から芦屋に場所を変えても、聖地は「聖地」であり続ける。

「Tea Saloon Musica」

住所:兵庫県芦屋市宮塚町12-24 旧宮塚住宅1F
営業:11:00〜19:00(LO)※日曜休
電話:0797-38-8677

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