稲垣と二階堂の『ばるぼら』、「リアルではなく摩訶不思議に」
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ばるぼら(二階堂ふみ)と出会ったことで変わっていく美倉洋介(稲垣吾郎)(C)2019『ばるぼら』製作委員会
「稲垣吾郎さんとはいつか仕事をご一緒したかった」
──作家役に稲垣吾郎さんを起用したというのは、やっぱり彼ならではのちょっと高貴で超然としたイメージからでしょうか。
気障な感じとインテリジェンスというところがぴったりだと思ったんですね。実は稲垣さん、『白痴』を公開当時に劇場でご覧になっているんですよ。あの映画について好意的なことを言っていると人づてに聞いて、きっとこの人とは気が合うなって20年間思っていたんです(笑)。彼が出ている映画もずっと見ていて、いつか仕事をご一緒したかった。
──彼が演じる役柄は「流行作家」。原作では三島由紀夫っぽくもあるんだけども、あそこまでマッチョに傾いていない時代ですよね?
みなさん、原作のモデルは三島由紀夫さんって言うんですけど、僕の印象だと野坂昭如さんの方がキャラ的には近いのかなと。
──あの、一種虚無的なところですかね?
そうです。結構マスコミに出てましたよね、野坂さん。作家性を持ちつつ、一方では芸能人みたいな感じでもある、虚と実が入り混じった感じは野坂さんぽいかなと。もちろん三島由紀夫さんのイメージも混ざっていると思いますけどね。それに野坂さんサングラスじゃないですか? 多分そのイメージが強い。
──原作には明らかに筒井康隆さんが登場しますよね。痩せてて今とは全然風体違うけれど(笑)。
筒井さんは当時はあんな感じだったんですよ。実は今回お声がけしたんです、『白痴』にも出演してもらったので。最初に文学者たちのパーティーがあるでしょう、大先輩がスピーチしている。その役を筒井さんにお願いしたんですけれど、残念ながらタイミングが合わなくて。
──そんな筒井さんも含め、あの時代における「流行作家」という職業が今やなくなってますよね。でも敢えて当時の流行作家然とした背景を残された意味というのは?
存在の虚無性と言うんですかね。虚無感と虚構性はそういう人が出てきた方がはっきりするかなと思ったんですよ。
要するに、人に見せている自分とは違う裏側の部分があるっていうのは・・・今だったら芸能人がそうなんでしょうけど、でも芸能人を主人公にしてしまうとちょっと違うし、敢えて原作通りにやることによってそこが面白く描けるかなと思ったんですね。
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──先ほど新宿ロケの話が出ましたが、70年代の風景と割と地続きに見えるのはクリストファー・ドイルさんの撮影がひと役買ってると思います。ドイルさんと組まれるのは初めてですよね。
初めてです。今回は最初から自分の狙いとしてセクシーでエロティックな映画にしたいと思ったんですね。人間だけではなく、映っているものが全部セクシーに見えるようにしたいと。特に新宿という街をセクシーに撮ろうと考えたら、真っ先にドイルさんが頭に浮かんで、彼しかいないだろうと思って、企画ができて最初にオファーしたんです。
で、脚本を送ったら、すぐに「やりたい」と返ってきた。そのあと企画がなかなか進まなかったんですけれど、毎年のように連絡が来て「撮るならスケジュール空けるから、いつになるのか教えてくれ」と。そのうち「なぜそんなに決まらないんだ」って聞かれて。
「出演者が決まらないんです」と答えると「香港とかいっぱい女優がいるぞ、俺がいくらでも紹介するぞ」って言われたんだけれど、まぁ、待ってくれと(笑)。
──その5年の間にドイルさん、結構いろんな国で撮ってますよね。アレハンドロ・ホドロフスキーとまでやっているし、自分でも監督してるし。どんな感じで進められたんですか?
長年やってきて僕は、この人だと思って最初に選んだら本当に信頼して任せちゃえばいいと思っているんですよ。そこで心配したり、こうして欲しいああして欲しいと言ってもしょうがないので、もうその人のやり方に、むしろこっちが合わせていく。そういう人たちが集まって、やる気があってくれれば自然と映画は形になると。
『ばるぼら』
2020年11月20日(金)公開
監督:手塚眞
原作:手塚治虫『ばるぼら』
撮影監督:クリストファー・ドイル
出演:稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静、美波、渡辺えりほか
関西の上映劇場:シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋、なんばパークスシネマ、京都シネマ、MOVIXあまがさき、ほか
©2019『ばるぼら』製作委員会
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