清水の舞台から生まれた楽器!? お盆の「清水寺」で祈りの音楽

2021.8.12 07:15

8月9日、経堂(重要文化財)で楽器製作者の内田輝さんによるクラヴィコード奉納演奏がおこなわれた

(写真6枚)

北法相宗の本山「清水寺」(京都市東山区)の重要文化財である経堂で8月9日、楽器製作者・内田輝さんによる奉納演奏がおこなわれ、それを記念した企画展が16日まで開催中。主役となるのは、平成・令和の大修理で張り替えとなった清水の舞台板を使って作られた楽器・クラヴィコードだ。

14世紀ヨーロッパで考案されたクラヴィコードは、人の声よりも音が小さく、「小さいほど『天上の音楽』が聞こえる」といわれる鍵盤楽器。2020年に張り替えが終わった清水寺の「人々の祈りが込められてきた舞台板を、形を変えて伝えたい」という思いから、内田さんに依頼することになった。

内田さんは京都、東京の職人たちとコラボレーションしながら約1年をかけて、工芸的にも美しい、世界にひとつしかないクラヴィコードを制作。「素材としていただいた舞台板は、通常は用いないヒノキ材ですが、結果、豊かな響きが生まれたと思います。音で祈りを伝えることを、これからも続けていきたい」と内田さんは語る。

実際に奉納で演奏されたのは、琴のようなチェンバロのような秘かな調べ。教会音楽か、砂漠の民の祈りかと思わせるようなエキゾチックな旋律により、堂内の静寂が研ぎ澄まされ、蝉の声や鐘の音が響く外界とは違う、どこか清らかな場所へと吸い込まれてゆくようなひと時だった。

同寺の経堂16日までおこなわれる『silk road– 祈りの道』展では、この清水の舞台から生まれたクラヴィコードと、メイキング、ライブ映像が展示される。料金は無料、朝10時から夕方5時まで(14〜16日は、夜9時まで)

取材・文・写真/沢田眉香子

清水寺『silk road - 祈りの道』展

日時:2021年8月9日(月)〜8月16日(月)・10:00〜17:00
※8/14〜8/16は夜間拝観期間で〜21:00
会場:音羽山 清水寺 経堂(京都市東山区清水1-294)
料金:無料

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