行き先は「蒸37 サウナ」、兵庫・サウナバスの乗り心地は?

神姫バスを丸ごとサウナに改修した「サバス」。電光掲示板に表示される系統番号は「蒸37」で、ナンバープレートも「1137(いいサウナ)」だ(3月5日・兵庫県神河町)
2019年ごろからブームとなり、愛好家を指す「サウナー」という言葉も市民権を得つつあるサウナ(3月7日はサウナの日)。そんななか、路線バスが丸ごと1台サウナに生まれ変わるという、夢のようなプロジェクトが日本で初めて実現し、3月5日に兵庫県神河町のアウトドア施設「グリーンエコー笠形」で体験会がおこなわれた。その「サバス」の全貌を、体験会参加者の声とともにお届けする。
文・写真/合楽仁美
◆バスへの愛がふんだんに感じられるデザイン

サウナに生まれ変わったのは、兵庫県南部を拠点とする「神姫バス」の路線バス。廃車になる車両をサウナに改造する工事を昨年からおこない、ことし2月に完成した。
体験会場を訪れると、神姫バスのイメージカラーであるオレンジ色の車体が見えて「あ、あれだ」と遠目からでもすぐにわかった。思った以上に、バスそのまんまだ。
ただ車体には、ふだんのバスにはない水色のラインが。聞けば、サウナの水をイメージして加えられたものだという。粋な遊び心に期待が高まる。
サバスは、前半分が荷物置き場や休憩のための「常温」スペース、後ろ半分がサウナ室となっている。サウナ室の扉を開けると、むわっと熱気と湿度が押し寄せてきた。本当にサウナだ。

バスの座席配置をそのまま生かし、サウナ室には中央の通路をはさんで左右に2人掛けの椅子が設置。座面の角を丸くしたり、手すりに麻ひもを巻いて触れたときに熱くないようにしたりと、細かい配慮が随所にみられる。
室内には、サウナの本場フィンランド製の薪ストーブが置かれている。メラメラと薪が燃える様子を見ると、リラックス効果も増しそうだ。最前列に座った人が、「ロウリュ」と呼ばれる、ストーブで熱されたサウナストーンに水をかける役割を担う。

その右側には、バスの降車ボタン・・・と思いきや、よく見ると「ロウリュの方はこのボタンを押してください」と書いてある「ロウリュボタン」が。そう、ボタンを押すことで、蒸気が出てくる仕組みにもなっている。
さらに、温湿度計はバスのつり革をリメイクしたもの。至るところにバスへの愛が散りばめられたデザインで、サウナ好きだけではなく、乗り物好きにも人気が出そうだと感じた。
◆水風呂は自然の力を借りることも

サウナーたちによれば、熱いサウナ室に入った後に水風呂で心身を引き締めてこそ、サウナならではの「ととのう」感覚が得られるという。とはいえ、さすがにサバス車内に水風呂のスペースまではない。
そこで、車外に2~3人が入れる大きさのプールを用意。しかし何より、サウナ自体がバスなのだから、川や湖などの近くに移動し、自然を水風呂として活用することもできる。実際にこの日も、プールではなく近くの川に身を浸す参加者も多かった。
水風呂で引き締まった後、バス停のもとで外気浴をする様子も、とても絵になっていた。
◆参加者のサウナ愛に脱帽

今回の体験会は午前・昼・午後の3部制で、定員は1部につき8人、合計24人。その枠に10倍を越える約250人の申し込みがあったため、参加は抽選となった。
10倍の倍率を勝ち抜いたラッキーな参加者たちだが、8~9割の人が、自前のサウナハット(頭部と髪を守り、のぼせを防ぐ帽子)を持参していたことに驚いた。
大阪から訪れた女性は、「今日は仕事の日だったんですが、まさか当たらないだろうと思って軽い気持ちで応募。そうしたら当選したので、急遽、休みを取りました! すごく気持ちよかったです。来てよかった」と満足げだった。
神戸の温浴施設に勤務しているという男性は、「いつできるのかと楽しみにしていて、一番に乗りたいと思っていた。普通のサウナとまったく遜色なく、しっかり温まることができた。随所にバスらしさが散りばめられているのがいい」と話した。
サバスは、日本最大級のサウナポータルサイト「サウナイキタイ」との協働で作られている。メディアではどうしても「路線バスが生まれ変わった」という話題性が先行しがちだが、サウナとしての機能も申し分ないようだ。

そしてなんと、東京からの2人組も。朝6時台に自宅を出て、新大阪まで新幹線、そこからレンタカーを運転して来たという。
今回の会場となった兵庫県神河町は、姫路から1時間ほど北上したエリア。神戸在住の私でも「遠いなあ」と感じていた。そのため「すごく遠くなかったですか?」と聞くと、1人が涼しい顔で「ふだんから全国のいろんなサウナを巡っているので、別に・・・」とのこと。
その後、彼らは川の水風呂で「めちゃくちゃ冷たい!」と叫びながらも長時間、いろんなポーズをとって写真撮影を楽しんでいた。
いやはや、参加者たちの「サウナのためならどこまでも」のサウナ愛に脱帽するしかなかった。あ、私はサウナハットを持っていないのでハットは脱げないけれど(笑)。
◆サバスの出没情報をこまめにチェック

実は私は、神姫バスユーザーだ。子どもの頃から馴染みがあり、生活に欠かせない神姫バスがユニークな「変身」をすると知り、いてもたってもいられなかった。公式ツイッターを頻繁にチェックして工事の進捗状況を確認しており、体験会には参加者としても応募していたが、あえなく落選・・・。そんな私はサウナには詳しくなく、神姫バスへの愛着から、この話題に着目した。
完全な偏見だが、サウナブームは東京のデキるビジネスマンから広がったイメージを持っていた。「おらが街のバス」が、イケてる人たちの間で脚光を浴びるかもしれない! そんな、いかにも「東京にライバル心を燃やす関西人」的な考えからスタートしたのだった。
しかし実際に取材してみると、バスらしさとサウナの機能性を両立させたクオリティや、参加者たちが頬をピンク色に染めながら本気で楽しむ様子に魅了されてしまった。
サウナ沼、はまってしまうかもしれない。この原稿を書き上げたら、近くのサウナに行ってみたいと思う。
サバスにはすでに複数の団体や施設から、問い合わせが寄せられているという。本プロジェクトを担当した「リバース」(本社:大阪府高槻市)の松原安理佐代表は、「サバスはこれから、いろんな場所に行きたいと思っています。ツイッターで行き先を随時お知らせするので、ぜひチェックしていただき、乗りに来てください」と話した。
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