山の上で本格餃子、神戸の「月見茶屋」が100年の歴史に幕

2023.11.9 08:00

右手が月見茶屋の建物。左手のテラス席ではよく猫たちの姿を見た

(写真20枚)

■ 最終営業日、再び「高取山」へ

と、「これが最後の月見茶屋」と一旦は思ったのだったが、最終営業日、どうしてももう一度行っておきたくて再び私は高取山に登った。お店に入ると、長年のご常連さんたちが川本さんを囲んで別れを惜しんでいるようだった。

端の方の席に座らせてもらい、冷蔵ケースをのぞくと、もう缶ビールも売り切れており、かろうじて缶チューハイが残っていた。

最後の一杯だけ飲ませていただくことに

そのような状況なので当然ながら餃子はなく、常連さんのためにストックしてあった分があるばかりの様子だった。それが焼かれる匂いと、遠くからチラッと見た餃子の、ぽってりとふくよかなシルエットだけを記憶に留めて去ることにした。

最後のひとときをこの茶屋の建物のなかで過ごせて、川本さんに「お疲れさまでした」と言えたのがうれしかった。

最終営業日のカレンダー

山を下りながら、「あの餃子、もう食べられないのか・・・」とだんだん悲しくなってきた。しかし、そう言ったって仕方ない。この前、川本さんが別れを惜しむ常連さんに対して「高取山は逃げへん。いつでもあんねん。最後最後ゆうて、死ぬみたいやん(笑)」と笑っていた。「茶店はほかにもあるやん!」とも。

寂しい気持ちで山を下りたが……

「おいしい餃子はほかにもあるやん!」と、川本さんならそう言うだろうと思い直し、私は長田駅方面に山を下りてすぐの場所にある「来来亭 長田山麓店」に向かった。タッチパネルで「こってりラーメン」と「餃子」を注文し、待つことしばし。

「月見茶屋」のとは違うけど美味しそうだ

まずはアツアツの餃子から勢いよく頬張る。「うむ! あの餃子とは違うけど、めちゃくちゃうまい!」「こってりラーメンも最高!」と、私はすっかり満足して、駅までの道を歩いたのだった。

さようなら「月見茶屋」。あの餃子のおいしさを忘れない!

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