秋の味覚の王様「松茸」今年はどうなの? 日本料理店に聞く

13時間前

秋の味覚の王様、松茸。日本料理「はなの」の「松茸とかます杉板焼」

(写真9枚)

ようやく体感気温も低くなり、秋の味覚の王様「松茸」の季節がやってきた。松茸の旬の時期は、9月から10月と言われているが、昔ほど店頭などで大々的に販売されている松茸を見かけないような・・・。気のせいだろか。

それもそのはず、各国政府や環境団体などで作る「国際自然保護連合(IUCN)」は2020年、絶滅の恐れがある野生生物として松茸を「絶滅危惧種」に指定した。過去50年の間で30%以上の減少がみられ、今後も減少が見込まれるとのこと。日本に限らず全世界の傾向として収穫量は減少傾向にあるのだ。

収穫量が減っている主な原因は、松茸は生きたアカマツの根に寄生して成長する特性があり、森林の環境の変化がひとつ。そして多くのきのこ類のような人工栽培の手法が確立されておらず、自然に生えたものを収穫するので、気象条件等の影響を大きく受けることも要因に。

実際に2024年の松茸の状況はどうなのか・・・。毎年この時期、松茸づくしの「松茸会席」が人気の「ウェスティンホテル大阪」(大阪市北区)の日本料理「はなの」を訪ねた。

ウェスティンホテル大阪、日本料理「はなの」は、「安土桃山時代」をコンセプトにした、和モダンな空間

■ 今年は豊作「松茸チャンスの年」?

「松茸の価格はやはり年々高騰していますが、非常に厳しかった昨年と比較すると今年は豊作。質の良い松茸の仕入れが安定してできているので、昨年より長く10月24日まで『松茸会席』をお楽しみいただけます」とマネージャーの丸田氏。不作の年は予定期間を前に提供を終了したそうなので、2024年は「松茸チャンス」の年と言えそうだ。

松茸の土瓶蒸しは、これを目当てに来るファンも多い人気の一品

同店の「松茸会席」では、松茸の素材の味を最大限に引き出す、品あるやさしい味付けで、各種松茸料理を楽しむことができる。松茸の調理法として定番の「松茸土瓶蒸し」は、これを目当てに来店する固定ファンも多い、金井料理長のこだわりが詰まった一品。鱧出汁などは加えず、シンプルに一番出汁で松茸の味と香りを存分に堪能できる。

焼き物は、杉板を箱状にして、たっぷりの松茸と、秋が旬の脂ののったかますを包み、杉の木の香りを引き立てた「松茸とかます杉板焼」。そして松茸の天婦羅や、松茸釜飯など、松茸料理が次々と。

「松茸とかます杉板焼」は箱状の杉板で、しっかり香りを閉じ込めて調理。杉板を開く瞬間も楽しもう

こうした、松茸土瓶蒸し、焼き松茸、松茸ごはんなど、香り高く、おいしい日本料理の数々が、今後食べられなくなるのは悲しすぎる。いつまでも末永く松茸料理が楽しめるように、ますます秋の味覚の王様・松茸の絶滅回避を祈らずにはいられないが・・・。

「はなの」伝統の出汁を「淡味~Awami~」として承継。「料理は積み重ね。見えないところにも手を抜かないことがお客様の満足感につながる」と話す金井料理長

同店の金井料理長は「手に入りづらいと言っても、松茸がすぐに手に入らなくなる、食べられなくなる、ということではないと思うので、安心してください。ただ日本人が大好きな松茸の魅力に、海外の人たちも、気づき始めたということも大きい。今まで香りを嫌って見向きもしなかった海外の人たちが好んで食べるようになって需要と供給のバランスが変わり、価格高騰の理由にはなっていると思うので、今後もその傾向は続くのでは」と話す。

こちらの「松茸昼会席」は全8品。「焼茄子豆腐菊菜菊花松茸浸し」、「季節の御造り2種盛」で鯛と戻りガツオ、松茸含む「天婦羅」、4種のきのこ尽くし「かぶらと飛龍頭玉〆」なども楽しめる

同店では、10月24日まで「松茸会席」を楽しめる。ランチは1万3000円、ディナーメニューもあり。

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