「ホテルニューアワジ♪」CM概念一新、10室限定…京都での挑戦

9時間前

世界遺産「仁和寺」からほど近い閑静なエリアに位置する、新ホテル「HOTEL 宇多野京都別墅」

(写真20枚)

淡路島を拠点に、西日本で数々のホテルを展開する「ホテル ニューアワジ」(本社:兵庫県洲本市)。団体向き温泉宿の代表格でもあるが、年々「くつろぎ」重視の客室が増加傾向に。11月5日には、そのイズムを受け継ぐ、同社で京都で3棟目のホテルが開業した。

■ 閑静な立地をいかす、旧邸宅ホテルが誕生

趣ある和風建築をいかした本館のエントランス

新ホテル「HOTEL 宇多野京都別墅(うたのきょうとべっしょ)」(京都市右京区)は、昭和初期の邸宅を改修。客室は当時の建築意匠をいかした書院造の和室やクラシックな洋室ほか、和モダンな新客室など全10室が揃い、全室に京都清水の自家温泉を引いた風呂が完備されている。外観からして、「ホテルニュ〜ア〜ワ〜ジ♪」が印象的なCMに映し出される大型ホテルとは、まったく違った印象を受ける。

本館の2F客室からは、枯山水の広大な庭を鑑賞できる

京都にある既存のグループホテルは、観光客で賑わう東山に位置する。副社長の木下絋二さんは、今回のホテルについて「ここ宇多野エリアは、伸びしろがたくさんある地域。手ぶらで世界遺産の寺が点在する『きぬかけの路』を散策したり、近くの嵐電からのんびり嵐山へ行くのもいいですね。ホテルができて、周りの方たちに『活気づいた』と言ってもらえる存在になれたら」と意気込む。

本館の2F客室「松」
本館の2F客室「松」の和室、床の間など書院造をいかした空間

また、近隣は店が少ない住宅地のため、よりホテル内での「居心地のよさ」を追求。入口から靴を脱いで裸足で歩ける昔ながらの旅館スタイルで、照明や欄間には、京都在住の和紙作家・堀木エリ子氏による和紙を施し、あたたかな空間が広がる。食事を楽しむダイニングからは、緑あふれる約1000坪の日本庭園を鑑賞でき、船着き場をイメージした枯山水が目をひく。

朝食は「京のおばんざい」「鯛骨スープ旬菜しゃぶしゃぶ」など京野菜がたっぷり、釜炊きご飯付き

同ホテルは有形文化遺産の登録をめざす貴重な建物だけに、柱や壁などに手を加えることはできない苦労も。とはいえ、宿泊者への快適性を兼ね備えた改修も必要で、歴史的建物とホテル専門の2人の設計士によって試行錯誤の末、完成したそう。

■ 高級ホテルは緊張…目指したのは「ゆったり」

洋館の2F客室、天井高でアールデコの丸窓がクラシックな印象

木下さんによれば、同ホテルグループで「くつろぎ」「高級感」をより重視し始めたのは2000年ごろから。「高級ホテルは緊張するので、もっとゆっくり団らんを楽しんでもらいたい。『何か具体的なものがないと』と、各部屋に温泉風呂を作っていきました」。

2008年には、リゾートホテル「淡路夢泉景」に全18室の露天風呂客室が誕生。団体旅行での温泉旅館の印象が強かった「ホテル ニューアワジ」でも、現在は約半数が温泉付き客室という。

ディナーの一例

2022年に京都・東山に開業した「Hotel 侑楽 京八坂」も露天風呂などを配した13室の贅沢空間を意識。祇園など繁華街が近い立地ゆえ「京都の街をホテルのレストランに見立てて」と、夕食は提供しないという思い切った初の試みも。その分、朝食では淡路の魅力も伝える鱧料理でおもてなしを。現在、宿泊客の半数は外国人だそうだ。

今回の新ホテルにも、日本ならではの「歴史的建造物・庭園・和紙」など強みがそろっているという木下さん。「今後は近所のパン屋さんなど、地域の魅力が伝わる散策マップも用意できれば。わざわざ来てもらう場所なので、今まで以上の満足度を期待されると思います。グループのなかでも、1番上のハイクラスなホテルをめざしたいですね」と期待を寄せる。

宿泊料金は、1泊2食付き・4万7000円~(1名/2名1室利用時・税サ込み)。アクセスは京福電鉄・宇多野駅から徒歩約3分、JR花園駅までの車送迎あり。

取材・文/塩屋薫

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