パンライターが推薦、神戸のベーカリー「シュトーレン」4選

23時間前

「フロイン堂」の生地にはドライフルーツ、ナッツ、スパイスがたっぷり。シュトーレンを仕込むと厨房じゅうにラム酒の香りが広がる

(写真10枚)

クリスマスの4週間前・アドベント(降臨祭・待降節)から、薄くスライスして食べながらクリスマスを待ちわびる…というパン菓子「シュトーレン」。日本でもすっかり世の中に認知され、近年ではクリスマスシーンになると、ベーカリーをはじめ、パティスリーやカフェでも見かけるように。今回は、神戸のベーカリーが作るシュトーレンの中から、神戸在住のパン&スイーツライター・いなだみほがおすすめを紹介します。

神戸の主たるベーカリーでは、シュトーレンを作っていない店はないと言っても過言ではないほど、シュトーレンが大人気。アドベントよりも少し早い11月上旬ころから、あちこちの店頭で並びはじめます。食べ比べする人も多く、お気に入りのシュトーレンがある人も少なくないはず。

まず、紹介する前に、シュトーレンの簡単な歴史を。発祥の地はドイツ東部の町・ドレスデンと言われ、最古の記録は1329年、現在のザクセン地方にあるナウムブルクの司教へのクリスマスの贈り物だと文献に残っているそう。兵庫県では、1924年創業した「フロインドリーブ」のハインリッヒ・フロインドリーブ氏が、神戸に故郷の文化を伝えたい…という思いで作り始められたのが、シュトーレンが神戸に出回ったはじまりと言われているようです。

異国文化が根付いている神戸だからこそ、おなじみの存在として浸透するのが早かったのではないでしょうか。今回、紹介するのはリピーターが多いシュトーレン4選です。売り切れにはご注意を。

レンガ窯で作る「フロイン堂」

岡本の「フロイン堂」(神戸市東灘区)のシュトーレン(3400円)。創業92年のこちらは、「フロインドリーブ」の流れを汲むベーカリー。ノスタルジックな雰囲気の店の奥にあるドイツスタイルのレンガ窯で焼く山型食パンが大人気のお店です。

澄ましバターをくぐらせたあと、粉糖をまぶして一晩寝かせたら完成する「フロイン堂」のシュトーレン。営業日の朝9時から電話予約が可能

3代目竹内隆さんが作る「シュトーレン」は、夏の終わり頃からラム酒に漬け込み熟成させた、ドライフルーツとスパイスがたっぷり。生地と具材を合わせ発酵させたら、レンガ窯で焼成。年代物の窯の火まわりのせいか、生地がサクサクッと軽いのが特徴。

毎年変わっていく「サ・マーシュ」

北野の「サ・マーシュ」(神戸市中央区)は、毎年味が違うのが特徴。「数年前、シュトーレンに、砂糖の代わりに余ったジャムを入れてみたんです。焼き上がった生地のしっとり感や香りが気に入って、それ以降、シュトーレン用に毎年農園から届いたフルーツでジャムを作り、配合するようになりました」とオーナーシェフの西川晃功さん。

「サ・マーシュ」のシュトーレンの断面は写真で見てもしっとり、切り分けながらもレモンが香る

お菓子、料理などフード全般に精通する西川さんならではとあって、アイデアは無限! 「今年はどんなおいしい驚きに出会えるのか」と毎年楽しみにしているファンも多数。ちなみに、2022年は洋ナシとオオタチバナのジャム、2023年は甘夏のジャムをシュトーレンに配合したそうです。今年の「シュトーレン2024」(3024円)は、広島県の大崎上島の横本農園から届けられる青レモンで作ったビターレモンジャムに生姜、レモンピールも一緒に合わせ、爽やかな仕上がり。

チョコレートをベースに「ブーランジェリーレコルト」

山陽電鉄大開駅に本店(神戸市兵庫区)を構え、JR神戸駅近くに2号店を展開する「ブーランジェリーレコルト」。臨床検査技師として病院で働いていたという異例の経歴を持つオーナーシェフの松尾さんが作るのは、「ショコラ・シュトレン」(3780円、ハーフ1944円)。

酸味のあるクーベルチュールが軽やかな「ブーランジェリーレコルト」の「ショコラ・シュトーレン」(提供)

「クーベルチュールがいい塩梅に生地に馴染んで。濃厚でありながらすっきりした酸味があとに広がるチョコレート味です」。使う小麦は、栄養価の高い古代小麦である、アインコーンとスペルト小麦の2種だけ。それに鹿児島県産の未精製糖、室戸の海洋深層水100%の海塩、自家製酵母。さらに、クーベルチュール、赤ワインで煮たいちじく、ラム酒につけたレーズン、柚子皮、カルダモンを練りこんで…奥行きが広がる味わいに。

スパイスは控えめに「コドモべーカリープラス」

2024年10月9日にリニューアルオープンしたJR甲南山手駅の「コドモべーカリープラス」(神戸市東灘区)。国産小麦、自家製粉の有機全粒粉、有機ドライフルーツ、平飼い有精卵といった厳選素材を使っていましたが、今回のリニューアルを機にさらに素材を探求したそう。

「コドモベーカリープラス」の「シュトーレン」1800円は少し小ぶりサイズで買い求めやすい(提供)

濃厚でジューシー、希少なサヤキレーズンをふんだんに使用した「シュトーレン」(1800円)は、バターの芳醇な香りとともにレモンピールなどフルーツの爽やかさ、シナモンなどのスパイスも優しくふわりと。スパイスはちょっと苦手という方にも食べやすい味わいに仕上がっています。

それぞれの特徴が楽しい「シュトーレン」、食べ比べてみてはいかが。

取材・文/いなだみほ

神戸ベーカリーのシュトーレン4選

フロイン堂
住所:兵庫県神戸市東灘区岡本1-11-13
営業:9:00~18:00 日祝、第1・3・5水曜定休(臨時休業あり)
電話:078-411-6686

神戸ベーカリーのシュトーレン4選

サ・マーシュ
住所:兵庫県神戸市中央区山本通3-1−3
営業:10:00~18:00 月~水曜定休
電話:078-763-1111

神戸ベーカリーのシュトーレン4選

ブーランジェリーレコルト
住所:兵庫県神戸市兵庫区大開通7-5-16
営業:7:30~18:30 日・月曜定休
電話:078-599-6436

神戸ベーカリーのシュトーレン4選

コドモベーカリープラス
住所:兵庫県神戸市東灘区本庄町2-13-25
営業:10:00~18:00 火曜定休
電話:078-862-5345

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