オフィス街・本町の喫茶店で、贅沢「いちごエクレア」人気に

2025.2.21 11:30

いちごのエクレアシリーズ第1弾の「エクレール”あまおう”」1680円。(~3月1日)

(写真16枚)

1968年創業の喫茶店「自家焙煎珈琲 濱田屋」(大阪市中央区)は、一見すると大阪・本町にあるオフィス街ならではのクラシックなたたずまいだが、季節限定のエクレアを見ればきっと驚くハズ。昨秋からスイーツ好きのSNSで話題となり、今後さらなる人気が予想される。閉店の危機を超えて、現在の姿へ…その経緯について話を聞いた。

閉店するかもしれない、そのとき元バイトが…

創業したのは大阪・江坂で、1987年に現在の堺筋本町に移転してから、自家焙煎のコーヒー目当てにくつろぐサラリーマンの姿がおなじみの、いわゆる街の喫茶店だった同店。しかし、コロナ禍を機に、営業自粛を余儀なくされて「存続が大変らしい」と常連客の間で噂になったことも。

パティシエ兼オーナーの瀬尾貴志さん。バリスタ西さんの提案する季節のコーヒーとのペアリングも考えながら、メニューを考案

そこで駆けつけたのが、過去に同店で1年間アルバイトをしていた現在のオーナー瀬尾貴志さん。パティシエとしてのカフェ勤務を経て独立、カフェ&スイーツのコンサルト業を営むなかで「自家焙煎珈琲 濱田屋」も担当するように。しかし、元オーナーが高齢で閉店を視野に入れたタイミングで、「縁のある大好きなお店がなくなるのは寂しい。それならわたしが…」と名乗り上げ、2023年春に譲り受けることになる。

まず自身のパティシエ経験を活かして、もともとの人気メニューのシュークリームこと「シュークリム」と「エクレア」を材料からブラッシュアップ。「パティシエのいる喫茶店」というコンセプトを打ち出した。

急に、女性客が増えたきっかけは?

しかし、譲渡当初は、スイーツの方向性に迷走。「喫茶店らしいプリン・ア・ラ・モードやクレープなども挑戦したのですが、お客様の反響がいまいち弱くて…。求めてられていたのは、やっぱり『自家焙煎珈琲 濱田屋』の看板メニューのシュークリム、エクレアなんです。そこでエクレアをパティシエなりにアレンジしてみようと考えてみたのがのはじまりです」。

季節の花が眺められる窓際の席も人気

水は使わず、牛乳だけで作る贅沢生地の看板商品のエクレアをもとに、2024年8月に手がけたのがイチジクを使った「デザートエクレール」。第1弾は、イチジクをたっぷりサンドしてスパイスを効かせて、ブロンドチョコでコーティング。エディブルフラワー(食用花)でデコレーションして高級感漂うひと品に仕立てた。

これがインスタグラムを通じて話題となり予約客が増える結果に。第2弾は「黒いダイヤ」と呼ばれるイチジクの高級品種、ビオレソリエスをたっぷりと使用した豪華バージョンに。さらに話題を呼んで、これまで訪れることがなかった客層が一気に増加、特に40、50代の女性客が増えたそうだ。

5月まではいちご!…第3弾まで予定

その後、秋の栗のエクレアを経て、いちごを1月からスタート。第1弾は「エクレール”あまおう”」1680円(~3月1日)。中にはカスタードとチーズのクリームをたっぷりと絞り、タイベリーとラズベリーのソースを加え、福岡産のあまおうがズラリ。ホワイトチョコのガナッシュとラズベリーピューレ、ざくろシロップを合わせたクリームや、パールチョコなどで、ひと口ごとにさまざまな食感や風味が楽しめるように。また、長年愛され続けているエクレア生地には、ルビーチョコをコーティングして、サクサクッと香ばしい食感も絶妙だ。

「第1弾は蕾をイメージ、次はピスタチオのグリーンで葉っぱの芽吹く季節を、そして最後に満開の花が咲くイメージで、デザートエクレールを展開します」と、第2弾のいちごとピスタチオは3月1日~29日に、第3弾はさくらももいちごを4月1日~5月10日(予定)に提供する(金額はともに未定)。

2回食べに行った堺市女性によると、「あまり調べずに来たので本当にこの店で合ってる?と思いました(笑)。男性はスイーツというよりもコーヒーと軽食が目当てのようですが、女性の1人、2人客の方はこのエクレールを予約されている方が多いですね。最初のときは金額を把握せぬままで、数千円はするのでは?と思っていたところ、想像以上にお手軽価格だったのもうれしいです!」と話す。

喫茶店としてのコーヒーももちろん重視し、元オーナー・ママさんの自家焙煎するコーヒーに加え、焙煎師&バリスタの西裕也さんを迎え、珍しい生豆も仕入れてコーヒーのバリエーションも多彩に。それぞれのデザートエクレールとのペアリングも提案し、「エクレール”あまおう”」には中国・雲南省の豆を使用した「ハルメクブレンド」600円を。軽やかな飲み口とすっきりとした味わいが、爽やかないちごのエクレアによく合う。

瀬尾さんがオーナーになった現在も、「濱田屋オリジナルブレンド」の豆は元オーナーが焙煎している。このコーヒーに昔ながらの濱田屋謹製窯出しシュークリム300円を楽しむお客も多い。濱田屋ブレンド520円

通常のシュークリムやエクレアは11時から提供されるが、デザートエクレールのシリーズは、ビジネスパーソンのランチタイムを終えた13時から。事前にインスタグラム(@hamadaya_cafe)掲載のエクレール専用サイトでの予約が必要、満席の場合は空席ができ次第の提供となり、イートインのみ。ほかのプリン、タルトやショートケーキなどはテイクアウトが可能で、予約専用のアカウント(@hamadaya_sweets)から予約することもできる。

「濱田屋ブレンド」520円、「窯出しシュークリム」300円、「無限エクレア」380円など(いずれもイートイン価格)。営業時間は8時半~18時(土・祝日は9時~)、日曜休み。大阪メトロ堺筋本町駅から徒歩約4分。

取材・文/いなだみほ

自家焙煎珈琲 濱田屋

住所:大阪府大阪市中央区本町1-1-3 本町西ビル1F
営業時間:8:30~18:00(土曜、祝日は9:00~)
*スイーツは11:00頃からの提供 日曜定休
電話:06-6262-0688

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