【連載vol.24】見取り図リリー、竹久夢二展を観る
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エントランス近くにあるフォトスポット、恋多き男だった竹久夢二気分で撮影!
アート大好き芸人・見取り図リリーが、色々なアート展へ実際に観に行き、美術の教員免許を持つ僕なりのおすすめポイントをお届けする企画「リリー先生のアート展の見取り図」第24回でございます。今回は、「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)で2025年3月16日まで行われている『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』です。
竹久夢二さんには特別な思い入れが(親しみを込めて、以下は夢二と呼ばせていただきます)…というのも僕の出身は岡山県和気郡、夢二はそこから車でぱっといけるくらいの距離の岡山県邑久郡本庄村という所なんです。そして僕は1984年生まれで、夢二が生まれたのが1884年。ちょうど100年。厨二病だった僕は勝手に夢二の生まれ変わりじゃないかと胸を弾ませたものです!
夢二は恋多き男で、結婚して離婚後にその女性との子ども(第二子と第三子も!)がおり、「彦乃さん」と「お葉さん」という恋人を描いた作品も多数あります。そこは僕とまったく逆です。誠実という言葉を擬人化させたらリリーになるだろうと言われてたり、言われたことなかったりです。話がそれました。
この展覧会は、いきなり夢二の代名詞である「夢二式美人」こと美人画からスタート。《林檎》や《稲荷山》など、これぞ夢二って感じの作品です。《稲荷山》の着物の女性は、顔・体などを描くなだらかな曲線が特長的で、夢二なりの感性で女性の美しさを描きだしたんだと思います。
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なんかの感覚に似てるなと思ったら、ミュシャだ(注1)! この曲線美! 知らなかったんですが夢二はアール・ヌーヴォーにも影響を受けてるそうです。
GROKというAIに質問してみます!(xAI社が開発し、AIアシスタントというものです)アール・ヌーヴォーについて簡単に教えて!
「アール・ヌーヴォー(ART NOUVEAU)は、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパ全土で流行した芸術運動です」
GROKありがとう!AI最高!
美人画のイメージが先行している夢二なんですが、本の挿絵を描いたり封筒などの日用品をデザインをしたりデザイナー的な仕事もしているんです。千代紙などで用いられたパターン化されたデザインが好きでした。
若草色のベースに桜色の花が並ぶ《桜草》や、水玉柄のきのこが印象的な《きのこ》はいずれも木版で千代紙として、夢二プロデュースのお店「港屋絵草紙店」で販売されていたそう。こんなパターンの柄シャツとかあれば欲しい。時代にとらわれない、夢二先生センス!!
この展覧会で鑑賞して一番うれしかったのが、夢二の油画。水彩、木版のイメージはあったのですが、すいません、小生の勉強不足で油画を描いてること自体知りませんでした! 今も残っているのは30点らしく、今回展示されているのは、そのうちの13点。《家の見える風景》などは印象派から後期印象派らへんの影響が感じられます。夢二ほどの天才でもやっぱり印象派(注2)には魅了されるんですね。さすがアート界のスター集団・印象派!
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そのなかで80年間も行方不明(注3)だったという油画《アマリリス》は、夢二の感性と、良い意味で西洋の影響が混じった傑作だと思います。着物の女性がアマリリスの花と共に座っている姿が描かれています。夢二の恋人「お葉(およう)」がモデルで、イメージだけで描かれている女性像より、気持ちが入っているのが伝わってきます。夢二版モナ・リザとも言われてるそうです。
お葉をモデルにしている作品はまだあります。《秋のいこい》では秋の風景の中で休む姿を描いています。木の下で座る女性が、秋の風情とともにすこし寂しげに目線を寄せてます。当時の景気や情勢があまり良くなかった背景を反映していると言われています。いやー、お葉のこと好きですねー! ちなみに、若くして結核で亡くなった彦乃さんのことは生涯想って、想像で描いた作品も。恋多き男夢二パイセン、かっけーっす!
日本の港に訪れたバテレン(神父)を描いた《邪宗渡来》や、和装の女性が多い時代に掛け軸に洋装の女性を描くなど、欧米文化への興味や憧れをうかがえる作品もあるなぁと思っていたら、1931年47歳で2年間、アメリカとヨーロッパへ行ってました。これも初めて知りました。
アメリカで描かれ、西洋の女性を油画で唯一描いた《西海岸の裸婦》。今までの日本の美人画と違う良さがあります! 縦縞模様の布団のような物の上に裸婦が横たわり妖艶な目で見ています。より構図や筆使いが西洋の影響を受けているもよう。夢二の変遷を感じられます!
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そして最後に展示している《立田姫》。これは海外に行く前に描かれ、「究極の美人画」と夢二が自ら認める作品。「自分一生涯に於ける総くゝりの女だ。ミス・ニッポンだよ」と語ったそうです。よく観ると、超小顔で腕は細く明らかに不自然な姿勢。ただこれが夢二の考える美を集結させた美人画なんでしょうね。全体で観ると不自然な姿勢とかそんなん意識させないくらいの美人!
ほかにも、夢二の使っていた筆や万年筆、夢二の詩や関東大震災の際に被害写真を記録したスケッチなどもあり、ジャーナリストの一面も垣間見せ、才能とインテリジェンスの塊なんだと知りました。俺なんかが、絶対夢二の生まれ変わりではないと悟ってしまいました。世知辛い!
見取り図リリーは誰の生まれ変わりか教えて!
「見取り図のリリーが誰の生まれ変わりだという話は、特に公にされた情報や公式な声明はありません」
GROKもさすがにわかりませんでした!
(注釈1)ミュシャ…曲線を多用し、優美な装飾が特徴的なアール・ヌーヴォーの代表的な芸術家がアルフォンス・ミュシャ。
(注釈2)印象派…19世紀後半にパリから生まれた芸術運動。丁寧にリアルに描く写実主義から一変。それまで絵といえば、インドアで描かれていたのが屋外でも描き、色彩や光を大事して、”印象”を捉えたスタイル。
(注釈3)80年間行方不明の理由…夢二が長期滞在していた宿泊施設「菊富士ホテル」のオーナー羽根田氏にプレゼントとして贈られた作品。応接間に飾られていたもののホテルの閉館とともに行方不明に。今回、生誕140周年直前に発見され、岡山の「夢二郷土美術館」が所蔵することに。
【見取り図リリーの近況】
ニューヨークの嶋佐とのラジオ番組『喋るズ「リリー・嶋佐のソプラノC」』(TOKYO FM・水曜・20時~20時55分)が2025年1月からスタートしました。相方・盛山との『スタンド・バイ・見取り図』(TBSラジオ)ともにradiko、podcast等でも聞けます! 関⻄では、「なんばグランド花月」「よしもと漫才劇場」「森ノ宮よしもと漫才劇場」「よしもと祇園花月」に出演。見取り図が豪華メンバーを厳選した『見取り図寄席』を4月6日に山梨、7月に青森、10月に高知で予定。気になった方はぜひ、「FANYチケット」で検索してください!
『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』
画家・イラストレーター・デザイナー・詩人、ジャーナリストとしても活躍した竹久夢二(1884~1934)。今回は岡山にある「夢二郷土美術館」が所蔵する作品を中心に展示。油画、木版画のほかにも、初公開となる外遊時(アメリカとヨーロッパ)のスケッチ、封筒や千代紙などの日用品といったプロダクトなど約180点を展示。期間は2025年3月16日まで。時間は火曜~金曜は10時~20時、月・土・日・祝日は10時~18時(入館は閉館30分前まで)。一般1700円、大高生1300円、中小生500円。
『生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界』
期間:2025年1月18日(土)~3月16日(日)・会期中無休
時間:火~金曜は10:00~20:00、月・土・日・祝日は10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1−1−43 あべのハルカス16F)
料金:一般1700円、大高生1300円、中小生500円
※会期中、着物での来館の場合、当日券200円引きで購入可。他との割引券との併用不可
電話:06ー4399ー9050(あべのハルカス美術館)
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