創業140年、京都の老舗を守る5代目の挑戦とは
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「豆政」代表取締役社長・角田潤哉さん(2025年1月本店にて)
京名物「夷川五色豆」や「すはま団子」で知られる「豆政」は、明治17年(1884年)に現在本店がある京都市中京区の夷川通に創業した豆菓子屋です。3代目の角田憲治さんは、1949年に戦後の混乱のなか、京名物の復活を目指して結成された「京名物 百味會」の発起人のひとり。現在の当主である5代目・角田潤哉さんに、老舗を引き継いで23年の歩みと思いを聞きました。
1月に本店を訪れると、併設の工場から節分豆を煎る香りがただよっていました。同店は、京都の吉田神社、八坂神社、平安神宮、上賀茂神社、伏見稲荷に節分用の豆を納品しています。
思わず「いい香りですね」と言うと、「みんな言われるんですよ。でも当たり前なんで気にならなくて。逆に私らがいい香りするなと思ったときは、焦がしてるときなんです」と穏やかに笑う角田さん。夕方はカレービーンズを作っていることが多く、下校途中の小学生たちが毎日のようにカレーが食べたくなっているそうです。
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角田さんも、子どもの頃からこの香りのなかで育ちました。本店から50メートルほどはなれた、現在は団子などを作る工場になっている場所に自宅があり、学校帰りは友達と工場に寄って甘いものをねだり材料の水飴をもらったりしていたと話します。
「社長の息子やからというのもあると思いますけど、皆よくしてくれるんで、子どもの頃はお菓子屋やってるのはすごく得やって思っていましたし、家を継ぐことに疑問を持ったことはなかったですね」
約6年間は地元の信用金庫で働いて、28歳で豆政に入社します。そして38歳で社長になりました。昔から作られている五色豆やすはま団子などはそのまま味を変えずに作り続けながら新商品を積極的に開発し、現在は30種類ほどの豆菓子と団子を販売しています。
「私が入社した頃は、すごく甘いもの離れの時代やったんです。節分に親子で買い物に来た人に、五色豆を試食してもらい、お子さんが『これ美味しい、欲しい』って言っても、『こんな甘いもんダメです』っていう親がいっぱいいたんですよ。それでこのままではいかんなと思って、甘さを控えたものとか、甘くないものを増やすようにしましたね。それと、かとうて(かたくて)食べられへんっていう高齢の人も増えてきたんで、茶団子とか柔らかいものも作ったりしました」。そうやって売れるものが変わっていくことに、怖さを感じたこともあったそう。
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また、阪神・淡路大震災、SARS(重症急性呼吸器症候群)、新型コロナウイルス感染症など、関西や京都に観光客が来なくなる時期もありました。現在はインバウンドで賑わう京都ですが、また違った意味で厳しい時代がやってきます。
「京都の商売は京都のもんしか手出せへんっていうような時代から、ほかの地域からも京都で商売をする方がどんどん入ってくるようになってきた。京都のもん同士って、結構そういう縄張りを大事にするっていうんですか。たとえば、八ツ橋が売れるって言うてもみんながみんな八ツ橋は作らへん。そういう暗黙のルールがあるんですけど、そんなんもう全然関係なしに入ってきはるんで、世間の厳しさって言うんですか、京都やからって言うわけにはいかんっていうのをすごく感じました」
さまざまな時代とともに、140年の歴史を守りつつ変化もしてきた老舗の未来について角田さんは、「あくまでも専門的なジャンルで1番のものを作り続けるっていうのが基本やと思う。『世界一おいしくて、世界一喜ばれて、世界一有名なお豆屋さん、団子屋さんになろう』っていうのをずっと言うてるんですけど、そこには絶対世界一大きくなるというのは入れないようにしています」
「今、世界一うまいお豆屋さんだと思ってるんで、それを守り続けながら、アイデアを出し続けて、そのときそのときの喜ばれるものを作ろうって感じですね。原材料もそうですけど、味の加減、俗にいう隠し味っていうんですかね、そういうのはあるお菓子にしたほうがええなと思います」
「原材料でいいものっていうても、なんぼおいしく作っても100グラム1万円じゃ誰も買わない。気軽に食べられるお菓子っていうのをずっと続けようと思っています」と、力強い答えでした。
最後に気になる6代目について聞いてみました。
「うちは娘がふたりなんですけども、プレッシャーもあるので継ぐことについて言うてない。まだちょっと特に何も決まってないですが、考えてくれてるように思っています」
取材・文・写真/太田浩子
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