梅田で60年…老舗書店が閉店、大切にした客との距離感「いい商売だ」
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「清風堂書店」
大阪メトロ・東梅田駅の改札近くで、半世紀以上の歴史をもつ「清風堂書店」(大阪市北区)が2月末で閉店する。人文系やサブカルなど、店員のこだわりが感じられる品揃えは、コアな本好きや著者からも支持されていた。「街の本屋さん」が消えつつある昨今、家業を継いだ2代目の面屋洋社長と、約20年の勤務経歴がある土井昌則店長に、同店の歴史を通して改めて個人書店ならではの魅力を訊いた。
■ 昔は天井まで「本の壁」…中高年男性ばかりが集う店
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1967年に大阪駅前で開業した同店は、5年後に今の「梅田セントラルビル」地下1階に移転し、13坪からスタート。現在も残る地下2階の店舗と「自費出版サロン」以外にも、かつては同ビル内にコミックや教育書の専門店を構え、難波や堺でも店舗を展開。教育系の出版もおこなってきた。年々、紙の本離れで売り上げが減少し、入居ビルの建て替えを機に今回、約60年の歴史に幕を下ろす。
先代の頃は、東京の書店を模した倉庫のような店で、天井まで本がぎっしりと並んでいたそう。「周りから見えない本の壁だらけで、昼休憩で立ち読みする梅田のビジネスマン、専門書を見に来る人らが多く、昔は中高年男性ばかりの店だった」と面屋社長。土井店長は「女性も入りやすいよう女性誌を増やして付録を見やすく並べたり、棚を低くして開放的な空間にしていきました」と、振りかえる。
■ サブカル、タイ沼…実店舗ならではの「棚づくり」
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面屋社長によれば、書店のピークは1996年ごろ。その後ネット販売や電子書籍が台頭し、独立系は窮地に立たされる。同店では、実店舗の強みをいかすべく、店員の個性をいかした棚づくりをおこなってきた。
「自分の得意分野やパーソナルな部分を出した方が、共感した人が通ってくれる」と話す土井店長は、怪談やヘヴィメタルなどのサブカルコーナーを充実させ、特にコロナ禍以降は、著者を招いた配信イベントも増やしたという。タイのBLドラマが流行り出したころには、雑誌や原作本などの特集コーナーを作り、「タイ沼」の聖地としてファンが写真撮影に訪れるようにもなった。
また、ある店員のおすすめポップから人気となった本も。その小説『本の幽霊』(著・西崎憲、ナナロク社)は古書のような優美な装丁に惹かれて手に取る人が増え、小さな版元では異例の約50冊が売れたそう。所有欲が刺激される未知の本との出合いは、来店したからこその醍醐味だ。
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書店での1番のやりがいについて、「(客と)棚で会話する」と答えた面屋社長と土井店長。売れ筋や関連本などを並べた棚づくりをし、売れた本からどんな人が買ったのか想像する楽しさがあるという。「じゃあ、次はこの本もいけるかも?」と、棚の動きから需要を探っていくのが店員の腕の見せどころだ。
■ 客や著者との近い距離感、世界が広がる「いい商売」
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近年の大型書店ではセルフレジや検索機など、人との会話が減りつつあるが、個人経営ならではの客との近い距離感も魅力。面屋社長は「うちは『朝刊に出てた本はどれ?タイトルは知らんねんけど』みたいに尋ねられることも多く、それを機に新刊やおすすめ本の話で交流ができて、『今日は何が入ってる?』って聞かれる魚屋さんみたいですよね」と笑う。「清風堂書店」のSNSでの紹介を見た著者が直々に来店し、イベント開催に繋がったこともあったとか。
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今後の書店業界では、AI分析での効率化された入荷・品揃えが重視される可能性もあるといい、「本のことを分かっている、ベテランクラスの店員さん達を活かせないのは、本当に残念」と面屋社長。その一方で、近年はさらに専門分野に特化し、副業やネットでの1人経営スタイルの個性派書店も増えつつある。
改めて、面屋社長は「書店は子どもからお年寄りまで、誰でも来れる敷居の低さで、いろんな世界をみつけれる。新聞を広げた時のように、目的以外のものも目に入るからこそ、世界が広がる良さがある。いい商売だな」と笑顔を見せる。店頭に張り出された、閉店告知ポスターの最後には「いつか書店の復活を夢見て!」の一文が添えられている────。
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「清風堂書店」の営業は2月28日まで、時間は朝10時~夜10時(日祝は夜8時まで)。2月15日、23日、24日は著者本人からサインをもらえる「1日書店員イベント」を実施。今後の「清風堂書店」は、教育書や参考書などの出版部門や自費出版に専念する。
取材・文・写真/塩屋薫
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