京都でポーランド展開幕、日本初公開が9割…浮世絵の影響も

オルガ・ボズナンスカの代表作のひとつ、静けさのなかに不安が同居しているかのよう。《菊を抱く少女》1894年 油彩/厚紙 クラクフ国立博物館蔵
ポーランドに特化した日本初といえる美術展『〈若きポーランド〉−色彩と魂の詩 1890−1918』が、3月25日に「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で開幕。地図上からポーランドという国が消滅した期間のアートに着目された、かつてない企画に。約9割が日本初公開だ。
ポーランドといえば作曲家のショパンがあまりにも有名だが、アートとなると…? という人も多いのではないだろうか。そんななか、4月13日開幕の『大阪・関西万博』に「ポーランドパビリオン」が出展することを記念して同展が実現。
1795年のロシア・プロイセン・オーストリアによる分割占領から、1918年の第一次世界大戦の終結による独立まで、地図上からポーランドが消えてしまったこの間の時代に活躍した芸術家たちを、約140点の作品を通じて紹介する。
オーストリア領に位置した古都クラクフで、祖国への思いや、アイデンティティをアートへ注ぎ込み活躍したのが、ポーランド美術でもっとも著名なヤン・マテイコ。クラクフ美術学校の初代校長を勤めた彼のもとから羽ばたいていった、「若きポーランド」と呼ばれる芸術家たちと共に焦点を当てている。
祖国を失ったポーランド人が芸術に思いを込めた背景について、開幕に先立ち開かれた24日の会見では、「蜂起を起こすなど実力行使的な形ですと、弾圧の対象になってしまう。美術であれば、一種の隠れ蓑に。また、クラクフが、ロシア支配、ドイツ支配の地域に比べて寛容なオーストリア側にあり、社会的、政治的にも比較的自由があったというのもあります」と、同館の研究員・小野信司さんは説明。

当時の風景画は単なる自然を描いたものではなく、象徴的なモチーフなどを織り込み、人間の精神状態を反映させることを意図したものに。また、祭礼儀式や衣装などを描き、地方の伝統的な様式や文様を引き継ぎ、新しいデザインを生み出すことで、ポーランド文化を後世へとつなげる一面も。
■ポーランド画家は、浮世絵好きが多い?
注目すべきは、想像以上に日本美術の影響を受けていたこと。そのきっかけとなったのが、自らをフェリクス・“マンガ”・ヤシェンスキ(このマンガは北斎漫画が由来)と称したコレクター。自らも作家であり、芸術批評家でもある彼は、膨大な浮世絵作品を収集。「若きポーランド」たちに、日本美術に接する機会を作っていったそうだ。
そのため着物姿の女性を描いた《日本女性》(顔立ちを見ると日本女性ではないが…)や、日本人形など伝統的な品々を描き込んだ作品もあれば、浮世絵の特徴を取り入れたものも。例えば、スタニスワフ・ヴィスピャンスキの《夜明けのプランティ公園、クラクフ(ヴァヴェル城を臨むプランティ公園)》では、「すだれ効果」を参考にしたと言われている。

ちなみに、ヤシェンスキの膨大な日本美術コレクションは、クラクフ国立博物館にすべて寄贈され、今回はそのなかから歌川広重の版画などが里帰りしている。歌川広重作品が間近で見られる貴重な機会にもなっている。

また、同展の象徴的な作品《菊を抱く少女》を描いた、先駆的な女性画家のオルガ・ボズナンスカの作品を1室まるごとまとめた展示も見どころのひとつ。青・灰色・白といった色彩を多用することから「静寂の灰色の画家」とも呼ばれる彼女の作品からは、端々に日本美術の影響が見て取れる。4階のコレクションギャラリーにも岡山県の「大原美術館」所蔵の2点が展示されているので、お見逃しなく。
期間は3月25日から6月29日、時間は10時〜18時、金曜は20時まで(最終入館は30分前)、金額は一般2000円。月曜休館(5月5日は開館)。「僕のヒーローアカデミア」、「葬送のフリーレン」でも有名な声優・岡本信彦が音声ガイドを担当。1台650円(レンタル版と、スマートフォンで聞けるアプリ版の2種あり)。
『〈若きポーランド〉−色彩と魂の詩 1890-1918』
期間:2025年3月25日(火)〜6月29日(日) 月曜休館、ただし5月5日(祝)は開館
時間:10:00〜18:00 金曜は20:00(最終入館は30分前)
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町26−1)
料金:一般2000円、大学生1100円、高校生600円
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