ドイツの巨匠、京都で32年ぶり! 日本独自の美術展が二条城で開幕

2025.3.31 11:30

手前から《マアト=マニ》(2018ー24)、《スルムス・コルダ[心を高めよ]》(2018ー24)、《ボソン開放弦》(2023)

(写真30枚)

日本人ダンサーと、キーファーとの密接な関係

今回、3月31日〜6月22日に開催される『アンゼルム・キーファー:ソラリス』。音声ガイドを担当し、オープニングで石原淋とのパフォーマンスをおこなったのは、ダンサーの田中泯。「元離宮二条城」にて3月29日の会見で明かされた、キーファーとのあまりにも素敵な関係について紹介する。

笑顔で会話を繰り広げる、田中泯とアンゼルム・キーファー
笑顔で会話を繰り広げる、田中泯とアンゼルム・キーファー

同じ1945年生まれ、誕生日は2日違いという80歳の2人。はじまりは、田中の一方的な片思いだった。30代の頃、ほぼ毎年3〜4カ月、ヨーロッパを踊って旅していた田中は、合間に美術館、画廊などを巡り、その際に雑誌でアンゼルム・キーファーの作品を発見。「本当に驚いたんです」と、当時の感情を振りかえる。

「僕はあこがれを糧に生きているんです。夢見ているといつか実現するということが奇跡的にいくつも起こってきました。キーファーに対しても本当にあこがれました。いつか会いたいと…」

フランスに行った時に知人を介して、会いたいという旨を伝えてもらったものの、その際は実現せず。それからも展覧会でのカタログやポスターを入手し続けていた。

「残念ながら、現物を観ることが長い間できずにいたんです。日本での展覧会(1993年)のときも僕は逃して、観ることができていません。悔しくて…。でも、もう年も年だし、あこがれたまんまで終わりかなぁと思っていたところに、(今回の主催者である)ファーガスから『興味があるか?』と。なかば信じられなかったです」

その出会いのきっかけとなった、同展の主催者ファーガス・マカフリーは、キーファーとは約30年来の付き合い。「7、8年前にキーファーさんと、泯さんの哲学に共通点を感じ、どうしても出会わせたいと思いました」と、ふたりが意気投合する姿を事前に予感できたことを説明した。

■キーファーに会うためにフランスへ、本人を前に突然の宣言

そして2年前、田中はフランスの町バルジャックにあるキーファーのスタジオ「ラ・リボーテ(La Ribaute)」へ。40ヘクタールに約80もの建物が展示場となっている、キーファーのファンにとっては夢のような空間で、ステテコにビーチサンダルというラフな姿のキーファー本人と一緒に作品を鑑賞することに。

その際に、「僕と同い年で、こんなにしっかりとした体で歩くやつはいないなぁって」と、ダンサーならではの目線も。1日一緒に過ごし、「これから毎年僕はここに来て、踊ることに決めました。5年間続けていいか?」と宣言したところ、キーファーは快諾。

その第1回目は、2024年9月に実現。いろんな作品の前で、何回も踊ったのだそう。その後、彼らから届いた手紙には「涙が出るぐらいうれしかったです」と、長年の夢を本当に実現したのだった。

《ラー》の前でパフォーマンスを披露した田中泯と石原淋
《ラー》の前でパフォーマンスを披露した田中泯と石原淋

今回の展示について、田中は「外からの光が入ってきて、太陽そのものと関係している展覧会です。僕が一番感動したのは台所に入って行って、二条城の建物がものすごく生き生きと見えたんです。巨大な木の柱が生き返ったように、そして同時に作品がもう何百年も昔から、そこにあるんじゃないかと思うような。これは光のせいかもしれません。展覧会というと、作品を見せよう見せようとして光を当てているけれども、まったく正反対のことをやっています」と述べた。

するとキーファーが、フランスで田中が作品の前で踊ったことに触れ、「泯さんこそが私の作品の光源。彼が踊って、私の絵に命が与えられた。日本から彼がやってきて照らしてくれた」と、互いに笑顔に。ふたりの強い結びつきを感じさせてくれた。

田中は太陽の光によってまったく作品が異なる印象になることにも触れ、「天気によって、晴れ、雨で全く異なる印象になると思う。何度観ても違う印象になるのではないか」と何度も鑑賞することを勧めた。会見では、野外に展示されたパレットから翼が広がっている作品《ラー》の前で、石原淋とともにパフォーマンスを披露。キーファーは田中を抱擁し、満面の笑顔でオープニングは幕を閉じたのだった。

田中が案内を務める音声ガイドは800円、アンゼルム・キーファーが作品を描いた背景などを知ることができる。

終始互いにうれしそうなアンゼルム・キーファーと田中泯
終始互いにうれしそうな表情を見せるアンゼルム・キーファーと田中泯

『アンゼルム・キーファー:ソラリス』

期間:2025年3月31日(月)〜6月22日(日)・会期中無休
時間:9:00〜16:30(最終入場は16:00)
時間:元離宮二条城 二の丸御殿台所、御清所など(京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
料金:一般2200円、京都市民割・大学生1500円、高校生1000円、中学生以下無料。以上別途二条城の「入城券」(一般800円ほか)が必要
※入場制限あり、事前にネットでのチケット購入必要

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