大阪・千里阪急ホテル55周年…歴代シェフが毎日磨き続けたモノとは?

千里阪急ホテル外観
1970年の『大阪万博』が開催された年に開業した「千里阪急ホテル」(大阪府豊中市)。この3月に55周年を迎えた建物には建築家・浦辺鎮太郎氏のこだわりが満載。そんなホテルを愛する人たちを追った。
現在同ホテルでは、開業55周年記念フェア『千里の道も一歩から』を開催中。アーチ型のエントランスを入ると、オープン当初のセピア色の写真がならべられたパネルが設置されており、開業当時の「ハイカラ」な雰囲気が伝わる。
そのなかにシェフを囲むようにカーブした鉄板の写真があり、「開業当時のボナージュ」と説明が。なんと、今も同じ姿で鉄板焼レストランとして使われているというので、同ホテルの東館2階、鉄板焼・フレンチ・和洋会席「ボナージュ」を早速見せてもらった。


現在鉄板の内側に立つひとり、平成4年(1992年)入社のシェフ・黒味さん。約4年間「ホテル阪急エキスポパーク」(2020年2月に閉館)勤務した以外は、ずっとこの「千里阪急ホテル」で働いてきた。

「20代の頃にお会いしたお客様が、今も来店されています。新人の頃は鉄板をはさんで、調理しながらお客様とのおしゃべりすることに慣れず、苦手意識もあったんですが、今は会話を楽しんでいます」と積み重ねてきた経験による自信が、立ち姿にもあらわれる。
「常連のお客様が、1歳のお子さんをこちらにお連れいただき、そのお子さんがもう次は小学校入学とお聞きしたときに、このホテルの伝統というか、長らくお客様に通い続けていただいているのだと実感します」と話す。

毎日営業が終わると、まだ鉄板があたたかいうちに牛脂をひいて硬めのスポンジで鉄板を磨く。長年手入れをし続けた鉄板は、今も新品のように端っこまでピカピカ。鉄板にシェフの姿がきれいに映るほど。このようにオープン時から50年以上経った鉄板が今も現役の理由について、「とにかく使い続けること」と黒味さんは話す。

鉄板はしっかりとメンテナンスしながら使い込むと、性能が向上し焦げ付きなども減る。他のホテルから同レストランに移ってきた他のシェフも、「50年経つと、建物のほうがだめになったり、同じ場所で営業しつづけている店は少ないでしょうし、こんなに長く同じ鉄板を使い続けているお店は、めったにないのでは。当時としては最新のしっかりした設備だったから、しっかり手入れをすることで、今もこうして現役なのでしょうね」と話す。

そんな歴代シェフが大切に受け継いできた鉄板を使い、目の前で披露されるシェフの技をじっくり堪能できるのが各種鉄板焼グランドメニュー(1名6500円~)。さらに、今回開業55周年を記念した特別メニューとして黒味さんが用意したのは、黒毛和牛やフォアグラ、活蝦夷鮑などの豪華食材をつかったペアコース「五褒美(ごほうび)」(2名料金5万5000円)。食材の相性を考え、55周年にふさわしい贅沢なコースを組み立てた。料理には、このコースのためにソムリエが選んだペアリングドリンク3杯、デザートプレートが付く。


◆ お客様とともに55年「節目節目で、お客様の人生に寄り添って…」
次にお話を聞いたのは、来館者にホテルでの思い出を葉っぱに書いてもらい木を育てる「55周年メモリアルツリー」を企画したメンバーのひとり、竹原さん。


ホテルの企画制作をしている竹原さんは、岡山出身。もともと浦辺氏設計の「倉敷アイビースクエア」(岡山県倉敷市)に親しみがあったそう。2009年にこのホテルで働くようになり、ホテルの設計者が「倉敷アイビースクエア」と同じだと知り、さらに建物に興味がわいた。

全従業員が、館内に散りばめられた自然のモチーフや設計のこだわりを学び、日々のお客様の案内にも活かしているという。それが共通の想いになり全員で接客していることも、ホテルの特徴でもあるアットホームな雰囲気につながっているかもしれない。竹原さんは、館内で写真を撮っている人を見かけると、嬉しくなって「ご案内しましょうか?」と話しかけてしまうそう。タイミングが合えば、お気に入りの場所を案内してもらえるかも。

「55周年メモリアルツリー」に貼られた葉っぱには、両家の顔合わせ、お見合いや結婚式など、記念日には何度も利用してきたことが綴られ「ありがとう」の文字がならぶ。「節目節目で、お客様の人生に寄り添ってたのかなという感じがして、とても嬉しいですね」と竹原さんは微笑んだ。

「千里阪急ホテル」の開業55周年記念フェア『千里の道も一歩から』は、5月31日まで。「ボナージュ」のペアコース「五褒美」以外にも、各レストランでは「1970」と「55」の数字にちなんだ特別プランを多数用意している。詳細は公式サイトにて。
取材・文・写真/太田浩子
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